この記事で分かること
海外から商品を仕入れてeBayで販売するセラーが、輸入時に発生する関税・通関手数料をどう経理処理するかを解説します。「仕入原価に含めるのか、それとも別の経費として処理するのか」という迷いに、原則から消費税の取り扱いまで順を追って答えます。
関税・通関手数料の基本的な経理処理
原則:仕入原価に含める
税務・会計の原則では、商品を事業に使えるようにするまでに要した付随費用は取得原価(仕入原価)に含めることとされています(企業会計原則 棚卸資産の評価基準、法人税法施行令第28条など)。
輸入仕入の場合、商品が自分の手元に届くまでには以下のコストが発生します。
| 費用の種類 | 内容 | 取得原価への算入 |
|---|---|---|
| 関税 | 税関が課す輸入税 | 原則として含める |
| 消費税(輸入消費税) | 保税地域からの引き取り時に課される | 仕入税額控除の対象(別処理) |
| 通関手数料 | 通関業者(フォワーダー)への報酬 | 原則として含める |
| 国内送料 | 税関から自社倉庫までの輸送費 | 原則として含める |
| 海外送料 | 仕入先から輸送中の費用 | 原則として含める |
つまり、関税も通関手数料も「商品を販売できる状態にするまでのコスト」ですから、商品の仕入原価の一部として計上するのが原則です。
消費税(輸入消費税)だけは別処理が必要
上の表でも示したとおり、輸入消費税だけは取得原価に含めず、仕入税額控除として別に処理します。
輸入消費税は、保税地域(税関の管理下にある倉庫など)から商品を引き取る際に課される消費税です。課税事業者であれば申告時に仕入税額控除が適用できるため、原価に含めてしまうと二重の節税になってしまいます。
実務メモ: 通関業者から受け取る「輸入許可通知書(インボイス)」には、関税と輸入消費税が別々に記載されています。経理処理の際はこの書類をもとに金額を分けて入力してください。
仕訳の具体例
仮に以下の条件で商品を輸入したケースを見てみます。
- 商品代金(海外仕入先への支払い):50,000円
- 関税:3,000円
- 通関手数料:2,000円(税抜)、通関業者への支払いには別途消費税200円
- 輸入消費税:5,300円
輸入消費税を仕入税額控除する場合(課税事業者)
仕入 55,000円 / 買掛金 50,000円
現金(関税)3,000円
未払金(通関手数料)2,000円
仮払消費税 5,500円 / 現金(輸入消費税)5,300円
仮払消費税(通関業者分)200円
※ 仕訳の形式は会計ソフトや税理士の指示に従ってください。上記はあくまでも処理の流れを示すイメージです。
免税事業者・簡易課税事業者の場合
免税事業者は仕入税額控除が使えないため、輸入消費税も取得原価に含めます。簡易課税の場合も仕入税額は実額ではなく「みなし仕入率」で計算するため、実務上は輸入消費税を原価に含めて問題ありません。
消費税還付との関係:輸出免税の重要ポイント
eBayセラーのように国内で輸入仕入→海外へ輸出販売を行う事業者は、消費税の還付を受けられる可能性があります。
国税庁タックスアンサー No.6551「輸出取引の免税」によれば、輸出取引は消費税が免税(ゼロ税率)となります。つまり、売上側では消費税を受け取らない一方、輸入仕入時に支払った輸入消費税は仕入税額控除として申告できます。結果として、消費税の申告では還付が発生するケースが多くなります。
この還付を確実に受けるためには:
- 課税事業者であること(免税事業者は還付不可)
- 輸出証明書類(輸出許可通知書など)を保存すること
- 消費税申告書を期限内に提出すること
が必要です。
実務メモ: 消費税還付を受けたい場合は「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要なことがあります。開業直後や売上規模が小さい時期は免税事業者になりがちですが、仕入規模が大きいと還付を受けられず不利になるケースがあります。
よくある誤解
「関税は経費(租税公課)でよいのでは?」
この誤解はよく見られます。固定資産税や自動車税などの税金を「租税公課」として経費計上するイメージから、関税も同じに思えるかもしれません。しかし関税は商品を仕入れるために直接要した費用ですので、仕入原価の付随費用として処理するのが原則です。
ただし、仕訳処理を「租税公課」にしても「仕入」にしても、最終的な利益(所得)への影響は、その商品が売れた時点で一致することがほとんどです。ただし棚卸残高の評価に差が出るため、在庫が期末に多く残る場合は処理方法に注意が必要です。
「通関手数料は毎回少額だからまとめて雑費でいい?」
少額であっても、同じ性質の費用はできるだけ一貫した科目で処理することが求められます。仕入原価への算入を原則としつつ、金額が僅少で在庫評価への影響が無視できるほど小さい場合は、実務上「荷造運賃」や「支払手数料」として経費処理を認める考え方もあります。判断に迷う場合は顧問税理士に確認してください。
自分で対応できる範囲と専門家に相談すべき境目
| 状況 | 対応の目安 |
|---|---|
| 関税・通関手数料を仕入原価に含めて処理する | 会計ソフトの入力で対応可能 |
| 輸入消費税を仕入税額控除する | 消費税申告の経験があれば対応可能 |
| 消費税の還付申告を初めて行う | 専門家への相談を推奨 |
| 課税事業者と免税事業者のどちらが有利か判断したい | 専門家への相談を推奨 |
| インボイス制度(適格請求書)と輸入仕入の関係を整理したい | 専門家への相談を推奨 |
| 仕入規模が拡大し、複数通貨・複数国からの仕入がある | 専門家への相談を推奨 |
まとめ
- 関税・通関手数料は商品の取得原価(仕入原価)に含めるのが原則
- 輸入消費税だけは仕入税額控除として別処理する(課税事業者の場合)
- eBay輸出セラーは輸出免税の適用により消費税還付が受けられるケースがある
- 「租税公課でよいのでは」という誤解に注意。棚卸評価への影響がある
- 処理に迷う場合・還付申告を初めて行う場合は税理士への相談が安心
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
輸出免税や消費税還付は取引形態によって判断が分かれるケースが多く、お一人で判断に迷われた際は税理士にご相談いただくと安心です。毛利順活税理士事務所では、eBayセラーの税務相談を承っております。
毛利順活税理士事務所では、初回のご相談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。