判断が分かれやすい場面はここ
フリマアプリやせどりの売上が増えてくると、「これは事業所得?それとも雑所得?」と迷う方が増えます。国税庁タックスアンサー No.1350「事業所得の課税のしくみ」によると、事業所得とは営利性・継続性・反復性をもって行われる事業から生じる所得とされています。
ただし、この定義だけでは実務判断には不十分です。以下の3つのケースが特に判断に迷いやすい場面です。
迷いやすい3つのケース
ケース1:副業から始めたが売上が急増した
会社員が副業でメルカリ転売を始め、月商が10万円を超えてきたケースです。
- 取引頻度が週に数回以上ある場合は「継続的・反復的な活動」と判断される可能性が高まります
- 利益を出す意図で仕入れ・販売を繰り返しているなら、営利性の要件も満たしやすくなります
- 結論が変わるポイント:「趣味の延長」から「利益を意図した仕入れ販売」に切り替わった時期がいつかを確認する
確認すべき証憑:仕入れ履歴(領収書・注文確認メール)、販売履歴、売上・経費の記録
ケース2:複数プラットフォームで同時展開している
メルカリ・ヤフオク・Amazonマーケットプレイスを併用しているケースです。
- プラットフォームが複数でも「一体の事業活動」として見られることが多いです
- 各プラットフォームの取引量を合算して判断します
- 結論が変わるポイント:帳簿(収支を記録したスプレッドシートでも可)をつけているかどうか
2022年の所得税基本通達改正以降、帳簿の記帳・保存が事業所得認定の実務上の重要な要件として明確化されました。帳簿がない場合、売上規模にかかわらず雑所得と判断されるリスクが上がります。
ケース3:本業との兼ね合いで規模が小さい
専業主婦(主夫)が月1〜2万円程度をフリマで稼いでいるケースです。
- 取引が不定期・少額・生活用品の処分が中心であれば雑所得(または非課税)の判断になりやすいです
- ただし「利益を目的とした仕入れ販売」が少額でも継続的に行われていれば事業所得の可能性があります
- 結論が変わるポイント:「生活用品の売却」か「仕入れた商品の販売」かの区別
判断ポイントをまとめた確認表
| 確認項目 | 事業所得寄り | 雑所得寄り |
|---|---|---|
| 取引の頻度 | 週複数回・年間を通じて継続 | 月1〜2回・不定期 |
| 仕入れの有無 | 利益目的で仕入れあり | 自宅不用品の処分が中心 |
| 帳簿・記録 | 収支を継続して記録している | 記録なし・確認できない |
| 副業か専業か | 専業または副業でも相当の時間を投下 | 片手間・ほぼ時間をかけていない |
| 年間所得の規模 | 相当額の利益が継続的に生じている | 少額・年によってばらつきがある |
よくある間違い
「売上が少ないから雑所得でいい」は危険です。金額の大小だけで区分は決まりません。少額でも継続的・営利的に活動していれば事業所得となる場合があります。逆に売上が大きくても、帳簿がなく取引が不規則であれば雑所得の判断になることもあります。
また、雑所得は青色申告特別控除(最大65万円)が使えないため、事業所得として申告できる状態を整えておく経済的メリットは大きいです。帳簿をつけることは、税務上の区分を有利にする実務上の対策でもあります。
まとめ
事業所得か雑所得かの判断は、「継続性・反復性・営利性があるか」と「帳簿を記録・保存しているか」の2軸で考えるのが実務上の出発点です。複数プラットフォームを使っている場合は合算で判断し、証憑(仕入れ・販売履歴)は必ず保存しておきましょう。取引量が増えてきた段階で一度所得区分を確認しておくことをお勧めします。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
せどり・転売の税務は、取引量が増えるほど判断が複雑になります。確定申告の時期に慌てないためにも、早めに税理士に相談しておくと安心です。
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