フリマ・転売セラーの方で、「配偶者の年収が103万円以下なら、税金も社会保険も扶養に入れる」と思っていませんか。
よくある誤解ですが、令和8年現在でも、税法上の扶養と社会保険上の扶養は別制度です。個人事業主世帯では、国民健康保険・国民年金に会社員のような扶養の考え方は原則ありません。
誤解しやすいポイント
「年収の壁」という言い方が広く使われるため、同じ基準で判定すると考えやすいです。ですが、実際は見ている数字も制度も異なります。
| 項目 | 誤解 | 正しい整理 |
|---|---|---|
| 税法上の扶養 | 103万円以下なら配偶者控除 | 令和8年時点では、配偶者控除は原則として配偶者の合計所得金額58万円以下で判定 |
| 社会保険の扶養 | 130万円以下なら誰でも扶養 | 主に会社員の健康保険の被扶養者基準の話で、国保にはそのまま当てはまりません |
| 個人事業主世帯 | 配偶者を国保の扶養に入れる | 国民健康保険・国民年金は、夫婦それぞれ加入が基本です |
正しい理解:税は「所得」、社保は「加入制度」で見る
税法上は、配偶者控除・配偶者特別控除の判定をします。
国税庁タックスアンサー No.1191「配偶者控除」 では、控除対象配偶者の要件として、配偶者の合計所得金額58万円以下などが示されています。令和7年度税制改正後、令和8年分以後は従来の48万円以下から58万円以下に改正されています。給与のみなら給与所得控除65万円を踏まえ、いわゆる「123万円」が目安になります。
ただし、フリマ・転売収入は通常、給与ではなく事業所得または雑所得として検討します。つまり見るのは売上ではなく、売上−必要経費の所得です。ここが「年収123万円までなら大丈夫」と単純化できない理由です。
一方、社会保険は加入先で考えます。個人事業主本人が国民健康保険・国民年金なら、配偶者も原則として各自加入です。106万円や130万円の基準は、勤務先の社会保険加入や健康保険の被扶養者判定で問題になる数字であり、国保世帯にそのまま当てはめるとズレます。
誤解したまま進めるリスク
たとえば、配偶者が転売で売上150万円、経費40万円なら、所得は110万円です。
この場合、税法上は配偶者控除の対象外で、配偶者特別控除の検討が必要です。それでも「売上が123万円以下でなければ扶養から外れる」と売上だけで判断すると、税額計算を誤るおそれがあります。
また、配偶者が会社員の健康保険の被扶養者になっているのに、事業収入の見込みを申告しないままにすると、後日扶養取消となり、数か月分の保険料を遡って負担する場合があります。年間で十数万円以上の負担差になることもあり、家計への影響は小さくありません。
正しい対応手順
1. まず「税金」と「社会保険」を分ける
確定申告の配偶者控除の話なのか、健康保険の扶養の話なのかを切り分けます。
2. 税金は「売上」でなく「所得」で計算する
仕入、送料、販売手数料などを差し引き、年間の所得を出します。フリマ・転売ではこの整理が実務上とても重要です。
3. 社会保険は加入先を確認する
| 加入状況 | 実務上の扱い |
|---|---|
| 夫婦とも国保・国民年金 | 原則として扶養なし。各自で保険料負担 |
| 配偶者が会社員の健保 | 健保組合・協会けんぽの被扶養者基準を確認 |
| パート勤務もある | 106万円基準など勤務先での社保加入要件も確認 |
4. 迷ったら「見込み額」で早めに確認する
社会保険は確定申告後ではなく、将来の収入見込みで判断されることがあります。売上が増え始めた時点で確認する方が安全です。
売上規模が小さく、収入源が単純なら自力で整理しやすいです。
一方で、転売収入が継続している、配偶者が会社員の扶養に入っている、配偶者控除と配偶者特別控除の判定が絡む場合は、税務と社会保険を分けて確認した方が安心です。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
せどり・転売の税務は、取引量が増えるほど判断が複雑になります。確定申告の時期に慌てないためにも、早めに税理士に相談しておくと安心です。
毛利順活税理士事務所では、初回のご相談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。