インフルエンサー・クリエイターの方からよくあるご相談のひとつが、「この支出は経費にしてよいのか」というものです。
国税庁タックスアンサー No.2210では、必要経費は売上を得るために直接必要な費用が基本とされています。もっとも、実務では撮影機材・衣装・美容代のように、仕事と私生活が重なりやすい支出で判断に迷うことがあります。
経費の基本は「仕事との関連性」と「私用部分の切り分け」です
原則として、投稿制作やPR案件、広告収入を得るために通常必要な支出は経費になると考えられます。
一方で、私生活でも使うものは全額経費にしにくく、家事按分が必要になる場合があります。
判断のポイントは、次の3点です。
- 収入を得る活動に必要だったか
- 仕事で使った事実を説明できるか
- 私用分を合理的に分けられるか
レシートを残すだけでなく、案件名、撮影日、使用内容をメモしておくと、後で説明しやすくなります。
撮影機材は経費になりやすいが、私用兼用は按分が必要な場合があります
カメラ、マイク、照明、三脚などは、撮影業務との関係が明確であれば経費になりやすい項目です。
ただし、スマホやパソコンのように私用と兼ねるものは注意が必要です。原則は仕事に使った部分のみを経費とし、使用実態に応じて按分するのが一般的です。
【想定事例】
・YouTube撮影専用に購入した照明機材
→ 業務専用であれば、経費として扱いやすいです。
・案件撮影にも使うが、日常利用も多いスマホ
→ 原則は全額ではなく、仕事使用割合で按分する考え方が一般的です。
なお、購入金額によっては一度に全額経費ではなく、減価償却の検討が必要になる場合もあります。
衣装費は「撮影専用か、普段使いできるか」で判断が分かれやすいです
衣装費は特にグレーになりやすい項目です。
原則として、普段着としても使える服は私的支出と見られやすく、経費計上には慎重な判断が必要です。
一方で、企画のために必要なコスチュームや、撮影用途が明確な衣装は経費と認められる余地があります。
【想定事例】
・ハロウィン企画用の仮装衣装
→ 撮影専用で私用性が低ければ、経費として説明しやすいです。
・ブランド紹介動画で着用したジャケット
→ 撮影で使用していても、通常の外出着として使える場合は、全額経費が難しいことがあります。
衣装費は「仕事で使った」だけでは足りず、「私用性が強くないか」まで見られやすい点に注意が必要です。
美容院代・美容代は原則難しいが、例外的に判断が分かれることがあります
美容院代、メイク用品、スキンケア用品もよくご質問を受けます。
原則として、身だしなみや美容に関する支出は私的性格が強く、経費になりにくいのが一般的です。
ただし、撮影案件のために通常を超える特殊メイクを行った場合などは、個別事情によって検討余地があります。
【想定事例】
・日常のヘアカットやカラー代
→ 通常は私的支出と考えられやすいです。
・作品撮影のための特殊ヘアメイク代
→ 案件や企画との対応関係が明確であれば、経費として検討できる場合があります。
旅行費用についても同様で、観光が中心なら私的支出と考えられやすく、撮影や取材が主目的なら業務関連費として検討しやすくなります。とはいえ、観光を兼ねる場合は全額ではなく、内容に応じた切り分けが必要になることがあります。
迷ったときは「説明できるか」で考え、早めに専門家へ相談しましょう
経費の判断は、領収書があるかだけで決まるものではありません。
「なぜ必要だったか」「どの案件で使ったか」「私用分はどう除いたか」を説明できるかが重要です。個別事情によって結論が変わることも少なくありません。
特に、衣装費や美容代、旅行費用のようなグレーゾーンは、ご自身の判断だけで処理すると後で迷いやすいです。帳簿に記載する前の段階で、証拠の残し方も含めて確認しておくと安心です。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
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