生前贈与で相続税対策|暦年贈与と相続時精算課税制度の違いと選び方

生前贈与を検討する方向けに、暦年贈与と相続時精算課税制度の違い、110万円非課税枠や2500万円特別控除、選び方の考え方を解説します。

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生前贈与は、相続税対策としてよく検討される方法です。ただし、「毎年110万円まで贈与すればよい」と単純に考えると、後で思わぬ課税関係が生じる場合があります。生前贈与には主に「暦年課税」と「相続時精算課税制度」があり、選び方によって将来の税負担や手続きが変わります。ここでは、国税庁タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率を参考に、基本的な違いと考え方を整理します。

暦年贈与とは

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与額を基準に贈与税を計算する方法です。一般的には、年間110万円の基礎控除があり、その範囲内であれば贈与税がかからない扱いです。

このため、長期間にわたり少しずつ財産を移す方法として活用されることがあります。ただし、名義だけを移した預金や、実質的に受贈者が自由に使えない財産は、贈与として認められない場合があります。また、相続開始前の一定期間に行われた贈与は、相続財産に持ち戻して相続税を計算する必要があります。いわゆる7年加算ルールが関係するため、直前の贈与だけで相続税を大きく減らすのは難しいケースもあります。

相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、一定の要件のもとで選択できる制度で、累計2,500万円までの贈与について特別控除が認められ、それを超える部分に一律の贈与税率が適用される仕組みです。近年は、相続時精算課税制度にも年110万円の基礎控除が設けられています。

ただし、この制度で贈与した財産は、将来、贈与者が亡くなった際に相続財産へ加算して相続税を計算するのが基本です。そのため、「贈与時に税金がかかりにくい」ことと、「最終的な相続税負担が軽くなる」ことは必ずしも同じではありません。また、いったん相続時精算課税制度を選択すると、同じ贈与者について暦年課税に戻せない点にも注意が必要です。

【想定事例】どちらを選ぶか迷う場合

たとえば、親御さんが今後10年以上にわたり計画的に資金を移したい場合は、暦年贈与のほうが使いやすいことがあります。一方で、早めにまとまった財産を移したい、将来値上がりが見込まれる財産を渡したいといった場合には、相続時精算課税制度が検討対象になることがあります。

もっとも、どちらが有利かは、相続財産の総額、贈与する財産の種類、贈与者の年齢、推定相続人の状況などで変わります。特に不動産や自社株のように評価や将来の変動が関わる財産では、制度選択の影響が大きくなる場合があります。

選ぶ際に確認したいポイント

制度を選ぶ際は、まず「毎年少額を継続するのか」「早めにまとまった財産を移すのか」を整理することが大切です。そのうえで、相続開始前の加算対象、贈与税申告の要否、将来の相続税申告への影響まで見ておくのが一般的です。

生前贈与は、制度だけを見て判断するよりも、ご家族全体の相続設計の中で考えることが重要です。目先の非課税枠だけでなく、最終的にどのような課税関係になるかを確認しながら進めると、無理のない対策につながりやすくなります。

本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。

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免責事項 本記事は情報提供を目的として作成しており、個別の税務アドバイスではありません。実際の税務判断・手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される場合があり、記事の内容が最新状況と異なることがあります。個別事情によって結論が異なる場合がありますので、必ずご自身の状況に合わせてご確認ください。

参考:国税庁タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率

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