ゲーム実況の配信機材は経費にできる?キャプチャボードの減価償却と少額特例を解説

キャプチャボードや配信用PCなど10万円未満の機材は全額即時経費。10万円以上は取得価額と申告方法によって少額特例・一括償却・減価償却の3パターンに分かれる。

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キャプチャボードを買ったけど、これって確定申告でどう処理すればいいんだろう——そんな疑問を抱えたまま決算時期を迎えるゲーム実況者の方は少なくありません。

  • キャプチャボードやマイクは「消耗品費」でいい?それとも「減価償却」?
  • 配信専用に使っているゲーム機やPCはまるごと経費にできる?
  • 青色申告と白色申告で処理が変わると聞いたけど何が違う?

機材の取得価額と申告方法の組み合わせによって、処理の仕方が三通りに分かれます。自分のケースがどこに当てはまるかを押さえると、申告書の記入で迷わなくなります。

この記事でわかること

  • 配信機材を経費にするための基本条件
  • 取得価額ごとの経費計上パターン(即時・一括・減価償却)
  • 青色申告者が使える少額特例の内容と最新の改正ポイント
  • 帳簿への記載と領収書の保存で押さえるべき実務のポイント
  • 自分で判断できる範囲と税理士に相談すべきケースの目安

まず結論:機材の価格帯で処理が三段階に分かれる

ゲーム実況の配信機材は、取得価額(消費税の経理方式によって税込または税抜の金額)で次のように処理が決まります。

取得価額 処理方法 適用条件
10万円未満 全額を取得年に経費計上(消耗品費等) 青色・白色どちらでも可
10万円以上20万円未満 一括償却(3年間で均等に経費化) 青色・白色どちらでも可(一定要件あり)
10万円以上30万円未満(令和8年3月31日まで取得)または40万円未満(令和8年4月1日以降取得) 全額を取得年に経費計上(少額特例) 青色申告者のみ・年間合計300万円まで
30万円(または40万円)以上 耐用年数に応じた減価償却 青色・白色どちらでも同様

取得価額が10万円未満なら申告方法を問わず全額その年の経費にできます。これが最もシンプルなケースです。

経費にできる機材の範囲——「業務に使う」が大前提

国税庁タックスアンサー No.2210「やさしい必要経費の知識」によると、必要経費として認められるのは「業務のために使われた支出」に限られます。ゲーム実況の場合、次の考え方が基本になります。

専用機材は原則として全額経費になります。配信専用に購入したキャプチャボード、配信用マイク、グリーンバック、配信専用のPCなどは、業務目的が明確なため全額を経費として計上できます。

プライベートと兼用している機材は按分が必要です。普段ゲームで遊ぶのにも使うゲーム機、自宅の作業用と配信用を兼ねているPC、家族も使うネット回線などは、利用時間や用途の割合で経費にできる金額を按分します。たとえば配信用途が全体の60%と判断できるなら、取得価額の60%相当を経費として計上します。按分の根拠となる記録(配信時間のメモ、視聴ログなど)を手元に残しておくと、税務調査のときに説明がしやすくなります。

経費計上できる機材の主な例

  • キャプチャボード(家庭用ゲーム機の映像を取り込む機器)
  • 配信専用マイク・ヘッドセット
  • 照明機材(リングライト・LEDパネルなど)
  • 配信専用PC・自作PCのパーツ
  • ゲームコントローラー(実況専用のもの)
  • ウェブカメラ・ビデオカメラ(顔出し配信用)
  • 防音パネル・吸音材(配信部屋の設備)
  • サブスクリプション型の配信ソフト・編集ソフト

取得価額10万円未満:全額を取得年に経費計上

国税庁タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」の(注1)に「使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします」と定められています。

キャプチャボードの多くは実売価格が2万〜8万円台に収まるため、このルールで全額即時経費にできるケースが大半です。帳簿上の科目は「消耗品費」や「工具器具備品」のどちらでも問題ありませんが、事務所内で科目を統一しておくと後で集計しやすくなります。

注意点:取得価額の判定は消費税の経理方式に合わせる

No.2100の(注5)に明記されているとおり、取得価額が10万円の基準を超えるかどうかの判定は、税込経理なら税込価格、税抜経理なら税抜価格で行います。免税事業者は税込経理になります。たとえば税抜9万8千円の機材でも、税込で10万7,800円なら、税込経理の方は「10万円以上」として扱います。

取得価額10万円以上:三つの選択肢

一括償却資産(10万円以上20万円未満)

No.2100の(注2)によると、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産は、青色・白色を問わず「一括償却資産」として処理できます。取得価額の合計額を3年間で均等に経費化する方法です。

たとえば15万円のウェブカメラを購入した年に、15万円÷3=5万円を経費計上し、翌年・翌々年にも各5万円を計上します。途中で売却や廃棄をしても残額の処理が不要という実務上のメリットがあります。

少額減価償却資産の特例(青色申告者のみ)

No.2100の(注3)に、青色申告者向けの特例が規定されています。青色申告者で一定の要件を満たす場合に取得した減価償却資産について、取得価額の合計額のうち年間300万円に達するまでを取得年に全額経費計上できる特例です。

取得価額の上限について重要な改正があります。国税庁が公表した「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」によると、令和8年4月1日以後に取得等する資産については取得価額基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限が3年延長されました。個人事業者(ゲーム実況者を含む)にも同様の措置が適用されます。

取得等の時期 少額特例の上限 年間合計上限
令和8年3月31日まで 30万円未満 300万円
令和8年4月1日以降 40万円未満 300万円

30万円(または40万円)未満の高性能配信PCや業務用カメラを購入した青色申告者は、この特例で取得年に全額を経費にできます。白色申告者はこの特例を使えない点に注意が必要です。

通常の減価償却(30万円または40万円以上)

上限を超える機材、または白色申告者が一括償却資産以外で処理する場合は、法定耐用年数に従って毎年少しずつ経費計上します。個人の法定の償却方法は原則として定額法です(届出なしの場合)。

器具備品の耐用年数は品目によって異なりますが、パソコンは一般的に4年、その他の電子機器は5年が目安とされることが多いです。ただし正確な耐用年数は財務省令の別表で確認することを推奨します。

帳簿の記載と領収書保存のポイント

国税庁タックスアンサー No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等の保存」によると、不動産所得・事業所得のある方は、取引の年月日・相手方・金額などを帳簿に記録し、帳簿や書類を一定期間保存する義務があります。ゲーム実況を事業所得として申告している方も対象です。

保存期間の目安は以下のとおりです。

書類の種類 保存期間
収入金額・必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) 7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿 5年
領収書・請求書・納品書など 5年

また、2024年1月からは電子取引で受け取ったデータ(ECサイトの購入明細メール、電子請求書など)の電子保存が義務化されています。Amazonや家電量販店のオンラインショップで機材を購入した場合、メールで届いた領収書や購入確認のPDFは電子データのまま保存が必要です。印刷して紙で保存するだけでは要件を満たさない点に注意してください。

よくある間違い

「ゲーム機は趣味のものだから経費にできない」と思い込む

ゲーム実況の収益を得るために使っているなら、ゲーム機も経費計上の対象になります。問題は「業務に使っているかどうか」であって、ゲームに使う機器だから経費にできないという規定はありません。ただし、自分のプライベートのゲームプレイにも使っている場合は、業務使用割合での按分が必要です。実況配信と私的なプレイの時間比率などを記録しておくと、合理的な按分割合を説明できます。

10万円の判定を税込・税抜で混同する

たとえば消費税を含めると10万円を超える機材を、税抜価格で「9万円台だから全額経費」と処理してしまうミスがあります。前述のとおり、判定は自分の経理方式に合わせた金額で行います。免税事業者は必ず税込で判定してください。

少額特例を白色申告で使おうとする

少額減価償却資産の特例(30万円未満または40万円未満の全額即時経費)は青色申告者にのみ認められています。白色申告のまま同じ処理をすると、取得年に計上できる金額が過大になり、過少申告となるリスクがあります。

自分で確認できるチェックリスト

申告前に以下を一つずつ確認してみてください。

  • 購入した機材の領収書・レシートを手元に保管している
  • ECサイトで購入した場合、電子データ(PDF等)のまま保存している
  • 取得価額の判定を自分の経理方式(税込/税抜)で行っている
  • 兼用機材については按分割合とその根拠をメモしている
  • 青色申告者であることを確認している(少額特例を使う場合)
  • 少額特例を使う場合、年間合計が300万円以内に収まっている
  • 減価償却資産台帳に資産名・取得日・取得価額を記録している

税理士に相談した方がいいケース

次のような状況に当てはまる場合は、自己判断だけで進めず専門家への相談を検討してください。

  • 配信機材に年間で100万円以上を支出しており、少額特例の上限(300万円)を意識する必要がある
  • ゲーム機やPCを家族と共用しており、按分割合の根拠が明確でない
  • 事業所得ではなく雑所得として申告しており、所得区分の変更を検討している
  • 白色申告から青色申告への切替を検討している(特例を使うための申請期限がある)
  • 自作PCのパーツをまとめて購入しており、一台の資産として合算すべきか迷っている
  • 令和8年4月前後に高額機材を購入予定で、取得時期の選択に悩んでいる

よくある質問

ゲームソフトの購入費も経費にできますか?

実況のために購入したゲームソフトは、業務に直接使う消耗品として経費計上できます。プレイした全ソフトをまとめて計上するのではなく、実際に配信で使ったものに絞って記録しておくと、業務関連性を説明しやすくなります。価格は数千円程度がほとんどなので、消耗品費として全額その年に計上するのが一般的です。

配信用に借りているレンタルサーバー代や動画編集ソフトのサブスク代は?

月額・年額のサービス費用は、支払った期間に対応する分をその年の必要経費として計上します。機材の減価償却とは別に扱い、「通信費」や「ソフトウエア使用料」などの科目で処理するのが実務上の一般的な方法です。

自作PCのパーツをバラバラに購入した場合、合算して判定しますか?

一台のPCを組み立てる目的でパーツをまとめて購入した場合、それらを合算した金額が取得価額になると考えるのが実務上の原則です。パーツ一つひとつを別々の消耗品として扱うと、本来減価償却すべき資産を即時経費にしてしまうリスクがあります。合算後の金額がどの区分に入るかを確認してから処理方法を決めましょう。

青色申告に切り替えたい場合、いつまでに申請すればいいですか?

青色申告承認申請書は、青色申告を適用したい年分の3月15日までに所轄の税務署に提出する必要があります(新規開業の場合は開業から2ヶ月以内)。少額特例を使いたいなら、この期限を逃さないよう早めに確認しておくことをお勧めします。

まとめ

ゲーム実況の配信機材を経費計上するときの判断軸は、取得価額と申告方法の二軸です。10万円未満なら申告方法を問わず全額即時経費、10万円以上は一括償却・少額特例・通常の減価償却の三択になります。少額特例は青色申告者だけが使える仕組みで、令和8年4月1日以降に取得する資産については上限が30万円未満から40万円未満に引き上げられました。

キャプチャボードのように業務専用で使う機材は全額経費にできますが、ゲーム機やPCなど兼用のものは按分計算が必要です。領収書と帳簿の保存、電子取引データの電子保存義務も含めて、機材を購入したタイミングで処理方法を確認しておくのが申告を楽にする一番の近道です。


本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。


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免責事項 本記事は情報提供を目的として作成しており、個別の税務アドバイスではありません。実際の税務判断・手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される場合があり、記事の内容が最新状況と異なることがあります。個別事情によって結論が異なる場合がありますので、必ずご自身の状況に合わせてご確認ください。

参考:国税庁タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし

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