相続税はいくらからかかる?親子・配偶者・兄弟姉妹や土地・家がある場合の判定方法

相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えた場合にかかる。相続人が子1人なら3,600万円、配偶者+子2人なら4,800万円が非課税ライン。土地や家には小規模宅地等の特例で評価額を最大80%減額できる場合がある。

税務コラム一覧へ戻る

親が亡くなり、遺産の分け方を家族で話し合う中で「そもそも相続税って、いくらからかかるの?」と疑問に思う方は少なくありません。

  • うちの遺産総額で税金が発生するのか分からない
  • 相続人の人数によって変わると聞いたが、計算方法が複雑に見える
  • 土地や家が含まれる場合、評価額をどう見ればいいか分からない
  • 配偶者や兄弟姉妹が相続人のとき、何か違いがあるのか気になる

結論からお伝えすると、相続税は「遺産総額が基礎控除を超えたとき」に初めて発生します。相続人が何人いるか、不動産があるかどうかによって、その基礎控除額と課税対象の財産額が大きく変わります。以下で具体的なケースを使って判定の流れを確認していきます。

この記事でわかること

  • 相続税の基礎控除額の計算方法と「発生ライン」
  • 親子・配偶者・兄弟姉妹など、相続人の組み合わせ別の非課税ライン
  • 土地・家がある場合に使える小規模宅地等の特例の概要
  • 自分のケースで「申告が必要か」を判断するためのチェックリスト

まず結論:相続税は基礎控除を超えると発生する

国税庁タックスアンサー No.4152「相続税の計算」によると、相続税の計算は「課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた残額(課税遺産総額)」に対して行います。

基礎控除額の計算式は次のとおりです。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

遺産総額(正味の課税価格の合計)がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。超えた分に対して初めて税率が適用されます。

相続人の人数別・非課税ラインの早見表

法定相続人の人数によって基礎控除額は変わります。自分のケースに当てはめて確認してください。

法定相続人の数 基礎控除額 相続税が発生する遺産総額ライン
1人(子1人など) 3,600万円 3,600万円超
2人(配偶者+子1人など) 4,200万円 4,200万円超
3人(配偶者+子2人など) 4,800万円 4,800万円超
4人(配偶者+子3人など) 5,400万円 5,400万円超

注意点として、出典(No.4152)には「相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数」を使うと明記されています。相続放棄した人がいても、その人数を含めて基礎控除額を計算します。

ケース別:こんな家族構成だとどうなる?

ケース① 親子(子1人)の相続

父が亡くなり、相続人は子1人のみ。遺産は預貯金800万円と自宅(評価額3,500万円)の合計4,300万円。

  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×1人=3,600万円
  • 課税遺産総額:4,300万円-3,600万円=700万円(課税あり)

この場合、相続税の申告が必要です。ただし、自宅については後述の小規模宅地等の特例が適用できる可能性があり、評価額を大幅に下げられるかもしれません。

ケース② 配偶者と子2人の相続(妻が相続する場合)

夫が亡くなり、相続人は妻と子2人の計3人。遺産は預貯金2,000万円と自宅(評価額3,000万円)の合計5,000万円。

  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
  • 課税遺産総額:5,000万円-4,800万円=200万円(課税あり)

基礎控除を超えているので申告は必要ですが、配偶者(妻)には「配偶者の税額の軽減」(No.4158)という制度があります。配偶者が取得した財産のうち、法定相続分または1億6,000万円のどちらか大きい金額までは相続税がかからない制度です。妻が取得した財産次第では、妻自身の納付税額がゼロになることがあります。

ケース③ 兄弟姉妹が相続人になるケース

被相続人に子も親もいない場合、兄弟姉妹が法定相続人になります。このとき、兄弟姉妹は「被相続人の配偶者・父母・子以外の者」に該当するため、相続税額に20%を加算する「2割加算」の対象となります(出典 No.4152)。

例:遺産4,000万円、相続人が兄弟姉妹2人(法定相続人2人)

  • 基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
  • 課税遺産総額:4,000万円-4,200万円=0円(申告不要)

この例では基礎控除の範囲内に収まりますが、遺産が4,200万円を超えると申告が必要になり、さらに算出された税額に20%が上乗せされます。兄弟姉妹が相続人のケースでは、この加算の影響が出やすい点に注意してください。

土地・家がある場合の判定:小規模宅地等の特例

不動産(土地・家)が相続財産に含まれる場合、評価額がそのまま課税対象になるわけではありません。一定の要件を満たすと「小規模宅地等の特例」(No.4124)が使えます。

居住用の宅地(特定居住用宅地等)に該当する場合、330㎡まで評価額を80%減額できます。

宅地の区分 限度面積 減額割合
居住用(特定居住用宅地等) 330㎡まで 80%減額
事業用(特定事業用宅地等) 400㎡まで 80%減額
貸付事業用宅地等 200㎡まで 50%減額

たとえば、評価額3,000万円の自宅の土地(300㎡)があり、特例の要件を満たす場合:

  • 減額額:3,000万円×80%=2,400万円
  • 特例適用後の評価額:600万円

これにより、基礎控除を超えるかどうかの判定が大きく変わります。ただし、この特例には「誰が相続するか」「申告期限まで住み続けるか・保有し続けるか」など複数の要件があります。自宅を配偶者が取得する場合は要件が比較的ゆるく、子が取得する場合は居住要件など追加の条件が加わります。要件の詳細は国税庁タックスアンサー No.4124 で確認するか、税理士に相談することをおすすめします。

自分で確認できるチェックリスト

以下の項目を順番に確認すると、申告が必要かどうかの目安がつきます。

  • 法定相続人が何人かを確認した(戸籍で確認済みか)
  • 基礎控除額(3,000万円+600万円×人数)を計算した
  • 預貯金・有価証券・保険金の合計額を把握した
  • 不動産(土地・建物)の評価額の目安を確認した
  • 生前贈与(相続開始前7年以内の暦年贈与)がないか確認した
  • 遺産総額が基礎控除を超えるかどうか試算した
  • 小規模宅地等の特例が使えるか(誰が・何を相続するか)検討した

なお、令和6年以降の贈与からは、相続開始前7年以内の暦年贈与が相続財産に加算されるルールに変わっています(段階適用)。亡くなる前に贈与があった場合は、その金額も遺産総額の計算に影響します。

税理士に相談した方がいいケース

次のいずれかに当てはまる場合は、自分での判断が難しくなるため、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

  • 遺産総額が基礎控除に近く、申告要否の判断が微妙なケース
  • 不動産が複数あり、評価方法や特例の適用区分が複雑なケース
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を組み合わせて適用したいケース
  • 相続人の中に兄弟姉妹や養子が含まれており、2割加算や人数カウントの判断が必要なケース
  • 生前贈与が多く、相続財産への加算額の計算が煩雑なケース
  • 申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)が迫っているケース

よくある質問

相続税がかかるのは「受け取った金額」からですか?

相続税は、各相続人が「受け取った金額(課税価格)」ではなく、遺産全体の合計(課税価格の合計額)が基礎控除を超えるかどうかで、まず申告要否を判定します。超えた場合、相続税の総額を計算し、それを各人の取得割合に応じて按分します。自分だけが少ししか受け取っていなくても、遺産全体が基礎控除を超えていれば申告は必要です。

生命保険金も相続税の対象になりますか?

死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。ただし、法定相続人1人あたり500万円の非課税枠があります(相続人が3人なら1,500万円まで非課税)。この非課税枠を差し引いた残額が課税価格に加算されます。

相続放棄した人は法定相続人の人数に含みますか?

国税庁タックスアンサー No.4152 に明記されているとおり、相続の放棄をした人がいても「その放棄がなかったものとした場合の相続人の数」を使って基礎控除額を計算します。放棄した人を除いて人数を少なく数えるミスが起きやすいので注意してください。

家や土地があると必ず相続税が高くなりますか?

必ずしも高くなるわけではありません。小規模宅地等の特例(No.4124)の要件を満たせば、居住用の土地は330㎡まで評価額を80%減額できます。要件を満たした場合、むしろ不動産があることで課税価格が大幅に下がり、相続税が発生しないケースもあります。

まとめ

  • 相続税は、遺産総額(課税価格の合計)が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えた場合に発生します
  • 相続人が子1人なら3,600万円、配偶者+子2人なら4,800万円が発生ラインの目安です
  • 配偶者には税額軽減の制度があり、取得財産が法定相続分または1億6,000万円までなら相続税がかかりません
  • 兄弟姉妹が相続人になる場合、基礎控除を超えると税額に20%が加算されます
  • 土地・家がある場合は小規模宅地等の特例(居住用は330㎡まで80%減額)の適用を検討してください
  • 相続放棄した人も法定相続人の数に含めて基礎控除を計算します
  • 令和6年以降の生前贈与(暦年贈与)は、相続開始前7年以内分が遺産総額に加算されるルールに変わっています

本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。


相続税は、財産の種類や相続人の状況によって計算方法や特例の適用が大きく変わります。「うちの場合はどうなるか」を知りたい方は、早めに税理士へご相談されることをおすすめします。

毛利順活税理士事務所では、初回のご相談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。

免責事項 本記事は情報提供を目的として作成しており、個別の税務アドバイスではありません。実際の税務判断・手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される場合があり、記事の内容が最新状況と異なることがあります。個別事情によって結論が異なる場合がありますので、必ずご自身の状況に合わせてご確認ください。

参考:相続税の計算

具体的な事例で確認するにはこちら

合名・合資会社が債務超過のまま無限責任社員が死亡——持分相当の債務は相続税の債務控除になる? 合名・合資会社が債務超過の状態で無限責任社員が死亡した場合、持分に応じた会社の債務超過額を被相続人の債務として相続税法第13条の債務控除の対象にできると国税庁が明示しています。 この記事を読む

税務のお悩み、お気軽にご相談ください

初回相談は無料です。記事の内容についてのご質問もお受けします。

無料相談・お問い合わせ
  • 初回相談無料
  • 全国オンライン対応
  • 来所不要・Zoomで完結