家族をEC事業の従業員にするとき、実務で引っかかりやすい5つのポイント

青色専従者給与として家族に給与を払う際、届出・労働実態・給与額の妥当性・配偶者控除との関係など、実務でつまずきやすい5つのポイントと対処法を整理しました。

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この記事で分かること

EC事業が軌道に乗り、在庫管理や梱包・発送作業を配偶者や親に手伝ってもらっているなら、「給与として経費にできるか」が気になるところです。

青色申告者であれば、生計を一にする家族への給与を「青色事業専従者給与」として必要経費に算入できます(国税庁タックスアンサー No.2075)。ただし、届出や労働実態など複数の要件をすべて満たす必要があり、実務では「届出を出しそびれた」「配偶者控除と二重取りしてしまった」といったミスが起きやすい制度です。

この記事では、EC事業者が特につまずきやすい5つの場面を取り上げ、それぞれの対処法を具体的に解説します。


前提:青色専従者給与の要件を3行で確認

  • 青色申告の承認を受けていること
  • 年間6か月超、その事業にもっぱら従事していること(「もっぱら」の例外あり)
  • 事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ提出していること

この3つを満たして初めて給与が経費になります。要件の詳細は本命記事をご参照ください。


実務でつまずきやすい5つのポイント

ポイント1:届出の「提出期限」を見落としている

ケース 届出期限
開業と同時に家族を雇う 開業日から2か月以内
年の途中から雇い始める 雇い始めた日から2か月以内
翌年以降も継続する 変更がなければ再提出不要
給与額を変更する 変更しようとする年の3月15日まで

よくあるミス: 「まず手伝ってもらって、後で届出を出せばいい」と考えて動き始めてしまうケースです。期限を過ぎた場合、その年分の給与は経費として認められません。年の途中から雇う予定が決まった時点で、すぐに届出を準備することが重要です。


ポイント2:「もっぱら従事」の判断がグレーになりやすい

EC事業の繁忙期・閑散期の波が大きい場合、「年間6か月超の従事」をどう証明するかが問題になります。

チェックすべき事実・証憑:

  • 作業日誌・シフト表(日付・作業内容・時間を記録)
  • 梱包材の発注履歴や発送伝票の担当者欄
  • 在庫確認のメッセージ・チャット履歴

間違えやすい点: 「家族なので口頭で指示するだけで記録がない」という状況は、税務調査で実態を否認されるリスクがあります。他の従業員と同様の記録を残すことが原則です。

また、専従者は「その年を通じてその事業にもっぱら従事」が原則ですが、学生やパートを別途持つ場合は「もっぱら従事」に該当しないとされることがあります(例外規定あり)。


ポイント3:給与額が「不相当に高額」と判断されるリスク

家族への給与は「労務の対価として相当な金額」でなければ、超過部分が否認されます。

妥当性を判断する際の目安:

  • 同じ作業を外部のアルバイトに依頼した場合の時給・月給
  • 実際の作業時間と時給の積算
  • 同業他社・求人サイトの相場

実務メモ: 月20万円を超えるような金額を設定する場合は、作業時間の記録と市場相場の根拠を届出書や業務記録に残しておくと安心です。金額の妥当性は届出書提出時ではなく、税務調査の際に問われます。


ポイント4:配偶者控除・配偶者特別控除との「どちらか一方」ルール

青色事業専従者として給与を支払った配偶者は、同じ年分について配偶者控除・配偶者特別控除の対象にできません(所得税法第57条)。

選択肢 経費算入 配偶者控除
青色専従者給与を支払う ○(給与全額が経費)
給与を払わず専従者扱いしない ○(要件を満たせば)

どちらが有利かは所得水準による: 事業所得が高く、家族の実働も多い場合は給与経費算入が有利になることが多いですが、所得が低い段階では配偶者控除の方が有利なケースもあります。切り替えは年単位での判断になるため、年末近くに焦って変更しないよう注意が必要です。


ポイント5:源泉徴収と年末調整を忘れている

家族であっても給与を支払う以上、雇用主には源泉徴収義務があります。

実務上の対応:

  1. 給与を支払うたびに源泉徴収税額表で徴収額を確認・天引きする
  2. 毎月(または納期の特例申請により半年に1回)税務署へ納付する
  3. 年末に年末調整を行い、過不足を精算する

間違えやすい点: 「家族だから源泉徴収は不要」という誤解が非常に多いです。源泉徴収を怠ると不納付加算税が発生する場合があります。給与ソフトや会計ソフトに登録する際、「家族だから特別扱いしない」を基本姿勢にしてください。


自分で判断できる範囲と、専門家に相談すべき範囲

自分で対応しやすい 専門家への相談が望ましい
届出書の提出(書式は国税庁サイトで入手可) 給与額の妥当性の判断
作業記録・日誌の整備 配偶者控除との有利不利の試算
源泉徴収の計算(税額表を参照) 社会保険への影響確認
年末調整の手続き(マニュアルあり) 税務調査対策・証憑の整え方

まとめ

家族をEC事業の専従者として雇う際のつまずきポイントは、大きく「届出の期限管理」「労働実態の記録」「給与額の根拠づけ」「配偶者控除との選択」「源泉徴収の実施」の5点です。いずれも「あとから対応すればいい」が通じない場面が多く、雇い始める前の準備が肝心です。


本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。

仕入税額控除の要件や帳簿の付け方は、取扱商品や販売チャネルによって異なります。「自分のケースではどうなるか」を確認したい場合は、税理士への相談がおすすめです。

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免責事項 本記事は情報提供を目的として作成しており、個別の税務アドバイスではありません。実際の税務判断・手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される場合があり、記事の内容が最新状況と異なることがあります。個別事情によって結論が異なる場合がありますので、必ずご自身の状況に合わせてご確認ください。

参考:国税庁タックスアンサー No.2075 専従者給与と専従者控除

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