家族が亡くなったら最初に何をする?逝去直後の手続き一覧と進め方

家族が亡くなった直後は死亡届(7日以内)・火葬許可・年金停止・相続放棄の熟慮期間(3か月)など複数の手続きが重なります。優先順位と期限を整理し、相続税申告が必要かの判断まで解説します。

税務コラム一覧へ戻る

家族が亡くなった直後、悲しむ間もなく「何をしなければならないのか」と焦る方は少なくありません。葬儀の手配が一段落したところで、手続きの多さに途方に暮れるケースもよくあります。

  • 死亡届はいつまでに、どこに出せばいい?
  • 年金や健康保険の手続きを忘れたらどうなる?
  • 相続税の申告は必要なのか、まだ何も確認できていない
  • 相続放棄には期限があると聞いたが、何か月以内?

こうした疑問をお持ちの方に向けて、逝去直後から相続税申告前までの初動手続きを、期限・担当窓口とともに整理します。手続きに優先順位をつけることで、焦りを落ち着かせ、漏れなく進めやすくなります。

この記事でわかること

  • 逝去直後に必ず行う手続きと法定期限
  • 相続放棄・限定承認の熟慮期間と注意点
  • 相続税申告が必要かどうかの判断の入口
  • 自分で確認できるチェックリスト

まず結論:初動手続きには「3つの時間軸」がある

逝去直後の手続きは、期限の長さによって大きく三段階に分かれます。

フェーズ 主な期限の目安 主な手続き
緊急(数日以内) 7日以内 死亡届・火葬許可、葬儀
短期(1か月以内) 14日〜1か月 年金・健康保険の停止、世帯主変更
中期(3〜10か月) 3か月・4か月・10か月 相続放棄、準確定申告、相続税申告

このうち「緊急フェーズ」だけは絶対に遅らせられません。それ以外は順を追って対処できます。焦って何でも同時に進めようとすると判断が鈍るため、まず期限の短いものだけに集中することが大切です。

この記事の対象になる方

  • 親・配偶者・兄弟姉妹を最近亡くされた方
  • 危篤の知らせを受け、事前に手続きの流れを知っておきたい方
  • 葬儀は済んだが、その後の手続きが何も進んでいない方

相続税の申告経験がなく、「何から手をつければいいか分からない」という方を主な対象として書いています。

【フェーズ1】逝去直後の緊急手続き(7日以内)

死亡診断書を受け取る

病院や施設で亡くなった場合、医師から死亡診断書が発行されます。自宅での突然死など、かかりつけ医がいない場合は警察・監察医による検案書が必要になります。この書類は後述の死亡届への添付が必須であり、かつ火葬許可の取得にも使います。複数枚コピーを取っておくことをすすめます(保険請求や金融機関の手続きでも提出を求められます)。

死亡届を提出する(7日以内)

死亡の届出は死亡の事実を知った日から7日以内に行わなければなりません。国外で死亡した場合は3か月以内です。

届出先は、死亡地・届出人の住所地・本籍地のいずれかの市区町村窓口です。届書には死亡の年月日時分および場所などを記載し、死亡診断書または検案書を添付します。

届出義務者の順序は、同居の親族、その他の同居者、家主・地主または家屋・土地の管理人の順とされています。ただし、順序にかかわらず届出することもできます。また、同居の親族以外の親族、後見人・保佐人・補助人・任意後見人・任意後見受任者も届出可能です。

死亡届と同時に、市区町村から火葬許可証が発行されます。火葬はこの許可証がなければ行えません。

葬儀・火葬の手配

届出と並行して葬儀社への連絡・火葬場の予約を行います。火葬許可証は火葬後に「埋葬許可証」として返却され、後日の納骨時に必要となります。大切に保管してください。

【フェーズ2】短期の手続き(14日〜1か月以内)

世帯主の変更届(14日以内)

亡くなった方が世帯主だった場合、死亡届の提出後に住民異動届による世帯主変更が必要です。残りの世帯員が1人であれば変更届は不要ですが、2人以上いて世帯主が明確でない場合は提出します。

年金受給の停止手続き

年金を受給していた方が亡くなった場合、日本年金機構への届出が必要です。届出を怠ると、亡くなった後も年金が振り込まれ続け、後日返還を求められます。マイナンバーと年金番号が紐づいている場合は自動的に停止されることもありますが、確実に手続きするほうが安心です。

また、生計を同じくしていた遺族が一定の要件を満たす場合、遺族年金や未支給年金を受け取れることがあります(日本年金機構「亡くなった方の未支給年金を受け取れるとき」参照)。受給要件や手続きは日本年金機構の窓口またはウェブサイトで確認してください。

健康保険・介護保険の資格喪失

  • 国民健康保険の被保険者だった場合:市区町村へ資格喪失届
  • 会社の健康保険の被扶養者だった場合:勤務先(健康保険組合)へ届出
  • 介護保険の被保険者証:市区町村に返却

各種サービスの解約・名義変更

電気・ガス・水道・携帯電話・クレジットカードの解約、銀行口座の凍結解除(相続手続き完了後の名義変更)なども、この時期に順次対応します。銀行口座は死亡が確認されると凍結されます。葬儀費用の支払いなど急ぎの出費がある場合は、遺産分割前でも一定額の仮払い制度を使える場合があります(詳細は金融機関に確認)。

【フェーズ3】中期の重要手続き(3〜10か月以内)

相続放棄・限定承認の熟慮期間(3か月以内)

民法第915条により、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続の単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選択しなければなりません。この期間を「熟慮期間」といいます。

3か月以内に何も手続きをしなければ、原則として単純承認(借金を含む財産すべてを相続)したものとみなされます。故人に多額の借金があるかもしれない場合、財産の調査を早急に始める必要があります。熟慮期間は、利害関係人または検察官の請求によって家庭裁判所が伸長できますが、期限が近づいてから動くのは危険です。

準確定申告(4か月以内)

故人が生前に事業所得・不動産所得・給与所得などを有しており、確定申告が必要だった場合、相続人が代わりに申告する「準確定申告」が必要です。期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。

給与所得のみで年末調整が完了していた方は不要なことが多いですが、不動産収入がある場合・複数の給与がある場合・医療費控除を受けていた場合などは注意が必要です。

遺産分割協議と相続財産の確認

相続人全員を確認したうえで、遺産をどう分けるかを相続人全員で話し合います(遺産分割協議)。この協議の前提として、財産・負債の全体像を把握することが不可欠です。

確認すべき主な財産は次のとおりです。

財産の種類 確認先・書類
預貯金 各金融機関の残高証明書
不動産 固定資産税の課税明細、登記事項証明書
有価証券(株式・投資信託等) 証券会社の残高明細
生命保険 保険証券・保険会社への問い合わせ
負債(借入金等) 金融機関・消費者金融の借入残高
みなし相続財産 死亡保険金・死亡退職金

名義預金(配偶者や子の名義でも実質的に故人が管理していた預金)は、相続財産に含まれる可能性があります。「子の口座に振り込んでいたがほぼ手つかずだった」ような場合は税理士に相談してください。

相続税申告(10か月以内)

相続税の申告・納税の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です(タックスアンサー No.4205)。

まず申告が必要かどうかを確認します。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(タックスアンサー No.4152)。財産の合計がこの金額を超えない場合、原則として申告は不要です。

ただし、小規模宅地等の特例(タックスアンサー No.4124)や配偶者の税額の軽減(タックスアンサー No.4158)を使って税額がゼロになる場合でも、特例を受けるためには申告書の提出が必要です。「税額がゼロだから申告しなくていい」と判断するのは危険です。

自分で確認できるチェックリスト

手続きの漏れを防ぐために、次のチェックリストを参考にしてください。

時期の目安 手続き 完了
7日以内 死亡診断書の受け取り(複数枚コピー)
7日以内 死亡届の提出・火葬許可証の取得
7日以内 葬儀・火葬の完了、埋葬許可証の保管
14日以内 世帯主変更届(必要な場合)
14日以内 年金受給停止の届出
1か月以内 健康保険・介護保険の資格喪失届
1か月以内 電気・ガス・携帯等の解約・名義変更
3か月以内 相続放棄・限定承認の要否を判断・手続き
4か月以内 準確定申告(必要な場合)
早期 遺産・負債の全体像の確認
10か月以内 遺産分割協議・相続税申告

税理士に相談した方がいいケース

次のいずれかに当てはまる場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

  • 故人が不動産・自社株・農地などを所有していた
  • 生命保険の死亡保険金が複数契約ある、または受取額が大きい
  • 生前に贈与を受けていた(相続時精算課税・暦年贈与どちらも)
  • 故人に多額の借金があった可能性がある
  • 相続人間で遺産の分け方について意見が合わない
  • 申告期限まで残り3〜4か月を切っているのに財産の把握が終わっていない
  • 「うちには財産がないから申告不要」と思っていたが、不動産や生命保険を含めると合計額が基礎控除に近い

相続税の計算では、財産の評価方法・特例の適用可否・遺産分割のしかたによって税額が大きく変わります。一度でも専門家に全体像を確認してもらうと、見落としや期限切れのリスクを大幅に減らせます。

よくある質問

死亡届は誰でも出せますか?

届出義務者の順序(同居の親族→その他の同居者→家主等)は法律で定められていますが、順序にかかわらず届出できます。また、同居の親族以外の親族や、後見人・任意後見人なども届出が可能です。実際には葬儀社が代行してくれるケースも多いです。

銀行口座はすぐに凍結されますか?

金融機関が死亡の事実を把握した時点で口座が凍結されます。死亡届の提出と自動的に連動するわけではありませんが、親族が連絡した場合も凍結されます。急ぎの支払いがある場合は、相続人であることを証明する書類を持参して金融機関へ相談してください。遺産分割前の仮払い制度が使える場合があります。

相続放棄の期限を過ぎてしまったらどうなりますか?

原則として単純承認したものとみなされ、借金も含めてすべて相続することになります。ただし、相続財産の存在を知らなかった等の事情がある場合に例外的な対応が認められるケースもありますが、ハードルは高いです。「3か月以内」の期限は必ず意識してください。期限に間に合わない可能性がある場合は、早めに家庭裁判所または弁護士へ相談することをおすすめします。

相続税の申告は10か月先だから、まだ急がなくていい?

10か月は一見長く感じますが、財産の把握・遺産分割協議・各種書類の収集に相当の時間がかかります。不動産がある場合は評価に時間を要し、相続人間の話し合いが長引くこともあります。遅くとも相続開始から6〜7か月以内には税理士に相談を開始することをおすすめします。

生前贈与は相続税の計算に影響しますか?

影響します。暦年課税による贈与は、被相続人の相続開始前一定期間内のものが相続財産に加算されます(令和6年以降の贈与から段階的に7年以内に拡大)。相続時精算課税を選択していた場合も、贈与時の価額が相続税の課税価格に算入されます。生前贈与の記録は早めに整理しておいてください。

まとめ

家族が亡くなった直後に必要な手続きは多岐にわたりますが、優先すべき順序は明確です。

  1. 7日以内:死亡届・火葬許可(法定期限あり)
  2. 1か月以内:年金・保険の停止手続き
  3. 3か月以内:相続放棄の要否を判断
  4. 4か月以内:準確定申告(必要な場合)
  5. 10か月以内:相続税の申告・納税

まず死亡届と火葬の手続きを確実に終わらせ、その後、故人の財産・負債の全体像を把握することが次のステップです。相続放棄の期限(3か月)だけは、財産の状況が不明なうちに過ぎてしまわないよう注意してください。


本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。

相続税は、財産の種類や相続人の状況によって計算方法や特例の適用が大きく変わります。「うちの場合はどうなるか」を知りたい方は、早めに税理士へご相談されることをおすすめします。

毛利順活税理士事務所では、初回のご相談を無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。

免責事項 本記事は情報提供を目的として作成しており、個別の税務アドバイスではありません。実際の税務判断・手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される場合があり、記事の内容が最新状況と異なることがあります。個別事情によって結論が異なる場合がありますので、必ずご自身の状況に合わせてご確認ください。

参考:戸籍法 第86条|e-Gov法令検索

具体的な事例で確認するにはこちら

相続と相続時精算課税・暦年贈与で取得した株式を譲渡する場合、取得費加算はどちらにも使える? 相続と相続時精算課税・暦年贈与で取得した株式を相続後に譲渡する場合、取得費加算の特例はどちらの株式にも適用可能。一部譲渡のときは1株当たりの価額が高い方から譲渡したとして計算できると国税庁の質疑応答事例が示している。 この記事を読む

税務のお悩み、お気軽にご相談ください

初回相談は無料です。記事の内容についてのご質問もお受けします。

無料相談・お問い合わせ
  • 初回相談無料
  • 全国オンライン対応
  • 来所不要・Zoomで完結