QR決済の記帳、現金と違うのは「2段階」になること
PayPayやd払いなどのQR決済を導入している小売店では、「お客さんが決済した日」と「口座に入金される日」がズレます。このズレを正しく記帳できていないと、売上の計上漏れや帳簿の不整合が起きます。
結論からいうと、QR決済は決済日に売上(売掛金)を立て、入金日に売掛金を消込むという2段階の仕訳が基本です。
なぜ「決済日」に売上を計上するのか
国税庁タックスアンサー No.2200「収入金額とその計算」では、収入の計上は「その収入の原因となる権利が確定した時点」とされています。QR決済の場合、お客さんが決済した時点で売上の権利は確定しているため、入金を待たずに決済日で売上を計上するのが原則です。
現金売上との違いを整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 現金売上 | QR決済売上 |
|---|---|---|
| 売上計上日 | 販売日(即日) | 決済日(販売日と同じ) |
| 入金日 | 販売日(即日) | 数日〜翌月(サービスにより異なる) |
| 仕訳の数 | 1回 | 2回(計上+消込) |
| 使う勘定科目 | 現金 | 売掛金(→後日 普通預金) |
具体的な仕訳例
ケース:8月1日に3,300円(税込)をPayPayで決済、8月10日に入金
【8月1日:決済日の仕訳(売上計上)】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 3,300円 | 売上高 | 3,000円 |
| 仮受消費税 | 300円 |
消費税込みで入金されるため、売掛金は税込額で立てます。
【8月10日:入金日の仕訳(売掛金の消込)】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 3,267円 | 売掛金 | 3,300円 |
| 支払手数料 | 33円 |
QR決済サービスは決済手数料(例:PayPayは1.98%)を差し引いた金額が入金されます。差額は支払手数料として処理します。手数料率はサービスや契約内容によって異なるため、加盟店管理画面や明細で確認してください。
実務上のよくある間違い
①「入金されたときに売上を計上」してしまうケース 入金日に全額を売上として仕訳するのは誤りです。決済日と入金日が月をまたぐ場合、売上が翌月にずれ込んでしまい、正しい損益になりません。
②手数料を売上の控除として処理してしまうケース 手数料は売上のマイナスではなく、支払手数料(経費)として計上します。売上高は決済額(税込)のままにしておきましょう。
③複数のQR決済を一括で入力してしまうケース PayPay・楽天ペイ・d払いなど複数サービスを利用している場合、入金がバラバラになります。サービスごとに売掛金の補助科目(または相手先)を分けて管理すると、消込作業がスムーズです。
月次確認のチェックリスト
- 決済日の売掛金計上は漏れていないか
- 入金ごとに手数料を差し引いて消込できているか
- 月末時点で未消込の売掛金残高がサービス側の入金予定と合っているか
- 手数料の計上先が支払手数料になっているか(売上のマイナスにしていないか)
まとめ
QR決済の記帳は、①決済日に売掛金で売上を立て、②入金日に手数料を差し引いて消込む、という流れが基本です。月をまたぐ取引が増えるほど、この2段階を省略すると帳簿の残高がずれていきます。管理画面の入金明細と帳簿を月次で照合する習慣をつけると、ミスを早期に発見できます。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
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