小売店の返品処理、消費税はどう調整する?売上返品・仕入返品の基本

小売店で返品が発生した場合、売上返品は「売上対価の返還等」として消費税を減額調整し、仕入返品は仕入税額控除を修正します。それぞれの処理方法と帳簿記載のポイントを解説します。

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この記事でわかること

小売店では、お客さまからの返品(売上返品)と、仕入先への返品(仕入返品)の両方が日常的に起こります。「消費税もどう直せばいいのか分からない」という声をよく聞きますが、処理の方向は明確に決まっています。

この記事では、それぞれの返品が発生したときに何を修正するのか、消費税の調整の考え方と帳簿の書き方を整理します。


まず結論から

返品が起きたとき、消費税の処理はこの2つです。

返品の種類 起きること 消費税の調整方向
売上返品(お客さまから返品を受けた) 売上が減る 売上に係る消費税を減額する
仕入返品(仕入先に返品した) 仕入が減る 仕入税額控除を減額する

どちらも「元の取引を遡って訂正する」のではなく、返品が発生した時点で調整するのが原則です(消費税法第38条・第38条の2)。


売上返品の処理:「売上対価の返還等」として調整する

お客さまが購入した商品を返品してきた場合、支払った代金を返金しますが、この返金に含まれる消費税分を「売上げに係る対価の返還等」として処理します(国税庁タックスアンサー No.6359)。

具体的な処理の流れ

  • 返品を受けた日の属する課税期間に調整する
  • 返金額(税込)のうち消費税相当分を、売上に係る消費税額から差し引く
  • 消費税申告書では「売上げに係る対価の返還等の金額」の欄に記載する

計算例

税込11,000円の商品が返品された場合(消費税率10%):

  • 返金する税込金額:11,000円
  • このうち消費税相当額:1,000円(11,000円 × 10/110)
  • 売上の消費税額から1,000円を差し引いて申告する

帳簿には「売上返品」や「返品」として記録し、消費税の税区分は「売上対価の返還等(課税)」とします。


仕入返品の処理:仕入税額控除を修正する

仕入先に商品を返品した場合、一度控除した仕入税額を取り消す必要があります。

具体的な処理の流れ

  • 返品した日の属する課税期間に調整する
  • 返品額(税込)に含まれる消費税相当分を、仕入税額控除の金額から差し引く
  • 消費税申告書では「仕入れに係る対価の返還等の金額」の欄に記載する

計算例

税込33,000円の仕入商品を返品した場合(消費税率10%):

  • 返品する税込金額:33,000円
  • このうち消費税相当額:3,000円(33,000円 × 10/110)
  • 仕入税額控除を3,000円分減らして申告する

帳簿には「仕入返品」として記録し、消費税の税区分は「仕入対価の返還等(課税)」とします。


よくある間違い

誤った対応 正しい対応
返品を「雑損失」「雑収入」で処理してしまう 売上・仕入の取消として処理する
元の仕訳を遡って訂正しようとする 返品が発生した期に調整仕訳を起こす
消費税の調整を忘れて売上・仕入額だけ修正する 必ず消費税の欄も同時に修正する
軽減税率(8%)の商品を10%で計算してしまう 元の取引の税率に合わせて計算する

特に軽減税率の商品については、元の仕入・販売時の税率(8%か10%か)に合わせて消費税を計算する必要があります。食品と日用品が混在する小売店では注意が必要な点です。


自分で確認できるチェックリスト

返品処理の際に以下を確認してください。

  • 売上返品・仕入返品のどちらかを正しく区分できているか
  • 返品が発生した課税期間に調整しているか(遡り修正ではない)
  • 税込金額から消費税相当額を正しく計算しているか
  • 元の取引の税率(8%・10%)に合わせて計算しているか
  • 帳簿の税区分を「対価の返還等」として記録しているか
  • 消費税申告書の「返還等」の欄に記載しているか

税理士への相談をおすすめするケース

以下の状況では、処理を誤ると申告額がずれる可能性があるため、専門家への確認を検討してください。

  • 返品が複数月・複数期にまたがっており、どの期で調整すべきか迷っている
  • 軽減税率(8%)と標準税率(10%)の商品が混在しており、税率ごとの集計が煩雑になっている
  • 簡易課税制度を採用しており、返品の消費税調整がどう影響するか分からない
  • 大量返品が発生し、売上・仕入の修正と消費税申告への影響を把握したい

簡易課税の場合、売上対価の返還等は課税売上高から控除されますが、仕入税額控除はみなし仕入率で計算するため、仕入返品による仕入税額控除の修正は不要になる点も確認が必要です(タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」参照)。


まとめ

項目 売上返品 仕入返品
調整先 売上に係る消費税を減額 仕入税額控除を減額
調整時期 返品が発生した課税期間 返品が発生した課税期間
申告書の記載欄 売上げに係る対価の返還等 仕入れに係る対価の返還等
税率の扱い 元の取引の税率を使う 元の取引の税率を使う

返品処理は「売上・仕入を直す」と同時に「消費税の調整も必ずセットで行う」のが基本です。軽減税率が絡む商品では税率の確認を忘れずに行ってください。


本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。

小売店では、軽減税率・在庫評価・返品値引・商品券など、日々の販売処理が税務に直結します。店舗の取扱商品や販売方法に合わせて整理したい方は、お気軽にご相談ください。

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免責事項 本記事は情報提供を目的として作成しており、個別の税務アドバイスではありません。実際の税務判断・手続きについては、税理士等の専門家にご相談ください。税制は改正される場合があり、記事の内容が最新状況と異なることがあります。個別事情によって結論が異なる場合がありますので、必ずご自身の状況に合わせてご確認ください。

参考:国税庁タックスアンサー No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(売上げに係る対価の返還等)

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