動画編集外注費の仕訳と源泉徴収、結論から
動画編集を外注したとき、個人YouTuberが個人の編集者に支払う場合は源泉徴収不要が原則です。勘定科目は「外注費」で処理し、支払金額をそのまま計上します。
ただし「誰が・誰に・何の報酬を」払うかによって扱いが変わります。以下で具体例と仕訳を整理します。
源泉徴収が必要かどうかの判断ポイント
所得税法第204条は、源泉徴収の対象となる報酬・料金を原稿料・デザイン料・講演料・弁護士等の報酬・芸能人の役務提供など、法律で列挙されたものに限定しています。動画編集・映像制作などの一般的な業務委託の外注費は、この列挙に原則として該当しないため、支払者が法人であっても個人であっても、源泉徴収は原則不要です。
「法人が支払うから源泉徴収が必要」ということにはなりません。源泉徴収義務者かどうか(支払者の属性)と、その報酬が源泉対象のカテゴリに該当するかどうかは、別の問題として判断する必要があります。
| 支払者の立場 | 支払先 | 源泉徴収の要否 |
|---|---|---|
| 個人YouTuber(個人事業主) | 個人の編集者 | 原則不要 |
| 個人YouTuber(個人事業主) | 編集会社(法人) | 不要 |
| 法人チャンネル運営会社 | 個人の編集者 | 原則不要(※下記の例外に該当する場合のみ要) |
| 法人チャンネル運営会社 | 編集会社(法人) | 不要 |
例外的に源泉徴収が必要となるのは、次のいずれかに該当する場合です。
- 給与と認定される場合:業務委託という形式であっても、働き方の実態が雇用に近いと判断されると給与所得として扱われます。この場合は給与所得の源泉徴収税額表に基づいて源泉徴収を行うこととなり、10.21%固定ではありません。
- デザイン等の204条該当報酬に当たる場合:業務内容が実質的にデザイン料など所得税法第204条に列挙された報酬に該当すると判断される場合は、源泉徴収の対象となります。
動画編集の外注費が上記いずれに該当するかは、業務内容や契約形態・業務実態を踏まえて個別に判断する必要があります。判断に迷う場合は、税理士や所轄の税務署にご確認されることをおすすめします。
具体的な仕訳例
ケース1:個人YouTuberが個人編集者に3万円支払い(源泉不要)
編集費用3万円を銀行振込で支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
支払額そのままを「外注費」として計上します。源泉徴収の処理は発生しません。
ケース2:法人チャンネル運営会社が個人編集者に3万円支払い(原則 源泉不要)
法人が支払う場合でも、動画編集の外注費が純粋な業務委託であれば、源泉徴収は原則不要です。処理はケース1と同じで、支払額そのままを「外注費」として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 30,000円 | 普通預金 | 30,000円 |
(例外)デザイン等の204条該当報酬・給与認定に当たる場合
業務内容が実質的にデザイン料など所得税法第204条に列挙された報酬に該当する場合に限り、源泉徴収が必要です。デザイン等の報酬として源泉徴収する場合、支払金額100万円以下の税率は10.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%)です。
30,000円 × 10.21% = 3,063円(1円未満切り捨て)
この場合、実際の振込額は源泉税を差し引いた26,937円で、仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 30,000円 | 普通預金 | 26,937円 |
| 預り金(源泉所得税) | 3,063円 |
差し引いた源泉税分(3,063円)は「預り金」として計上し、原則として翌月10日までに税務署へ納付します。なお、働き方の実態が給与と認定される場合は給与所得として扱われ、源泉税額は給与所得の源泉徴収税額表によるため、10.21%固定ではありません。
実務上の注意点
「外注費」か「給与」かの区分を誤らない
編集作業を継続的・専属的に依頼し、仕事の進め方を細かく指示しているケースでは、税務上「給与」と認定されるリスクがあります。給与扱いになると源泉徴収が必要になり、社会保険の問題も生じます。外注として扱うには、以下を意識してください。
- 複数の案件を自由に受けられる状態か
- 成果物単位の報酬で、時間管理をこちらからしていないか
- 請負契約書や業務委託契約書を締結しているか
領収書・請求書は必ず保存する
外注費は経費として計上しますが、確定申告の際に支払いの実態が問われることがあります。請求書・振込記録はセットで保管しておきましょう。
自分で確認できるチェックリスト
- 自分はスタッフへの給与支払いがない個人事業主か
- 支払先は個人か、法人か
- 業務委託契約書(または発注書)を作成しているか
- 請求書・振込記録を保存しているか
- 勘定科目を「外注費」で登録したか
まとめ
動画編集の外注費は、勘定科目「外注費」で処理し、源泉徴収は原則不要です(支払者が法人か個人かを問いません)。源泉徴収が必要になるのは、働き方の実態が給与と認定される場合や、業務内容がデザイン等の所得税法第204条に該当する報酬の場合に限られます。外注か給与かの区分に迷う場合や、法人として適切に処理できているか不安な場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
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