この記事でわかること
YouTuberがカメラや照明・マイクなどの機材を購入した場合、「全額を今年の経費にできるのか」「それとも数年に分けて経費にする必要があるのか」で迷う方が多くいます。
結論を先にお伝えすると、判断の分かれ目は購入金額(1点あたりの取得価額)です。10万円未満なら原則として購入年に全額経費、10万円以上なら減価償却が必要になります。青色申告者には30万円未満まで一括経費にできる特例もあります。
機材費は「業務に使う」なら経費になる
まず前提として、機材費が経費になるかどうかの判断軸は「YouTubeの活動のために使用しているか」です(国税庁タックスアンサー No.2210「やさしい必要経費の知識」)。
カメラ、三脚、照明、マイク、ビデオカード、PCなど、動画制作に直接使う機材は業務用資産として経費計上できます。ただし、プライベートと兼用している場合は、使用割合に応じて按分(あんぶん)が必要です。
金額によって処理方法が変わる
機材の取得価額(購入価格+送料など付随費用の合計)によって、経費計上の方法が次のとおり異なります。
| 取得価額 | 処理方法 | 適用条件 |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 購入年に全額経費(消耗品費など) | 白色・青色いずれも |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産(3年均等)または減価償却 | 白色・青色いずれも選択可 |
| 10万円以上30万円未満 | 少額減価償却資産の特例で即時一括経費 | 青色申告者のみ・年間合計300万円まで |
| 30万円以上 | 耐用年数に基づく減価償却 | 白色・青色いずれも |
実務メモ:「10万円未満」の判断は税込・税抜のどちらで見るかで変わります。消費税の課税事業者で税抜経理を採用している場合は税抜金額で判定しますが、免税事業者や税込経理の場合は税込金額で判定します。多くのYouTuberは免税事業者または税込経理のため、税込価格で判断するケースが多くなります。
減価償却とは何か
減価償却とは、高額な資産の購入費用を耐用年数(使用できる期間)にわたって少しずつ経費に計上するしくみです(国税庁タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」)。
たとえば、20万円のカメラを購入した場合、カメラの法定耐用年数は5年(器具備品)です。定額法で計算すると、毎年4万円ずつ5年間にわたって経費になります。
YouTuberが使う機材の主な法定耐用年数
| 機材の種類 | 耐用年数の目安 |
|---|---|
| カメラ・ビデオカメラ | 5年(器具備品) |
| 照明機器 | 5年(器具備品) |
| パソコン | 4年(器具備品) |
| マイク・音響機器 | 5年(器具備品) |
実務メモ:耐用年数は「何年使えるか」という個人の感覚ではなく、税法上の法定耐用年数を使います。実際には2〜3年で買い替えることが多くても、法定耐用年数で計算することが原則です。
よくある誤解
誤解1:「高くても今年全部経費にできる」
10万円以上の機材を購入年に全額経費にしようとするケースがあります。白色申告者や、青色申告でも30万円以上の機材については、この処理は認められません。減価償却が必要です。
誤解2:「プライベートでも使うなら経費にできない」
プライベートとの兼用でも、業務使用割合を合理的に算出して按分すれば、その割合分は経費にできます。たとえば「動画撮影に週5日、プライベートに週2日使う」なら、おおむね70〜75%を経費とする合理性があります。使用実態を記録しておくことが大切です。
誤解3:「機材費は消耗品費で処理すればいい」
10万円以上の機材を「消耗品費」として全額計上するのは誤りです。税務調査で指摘される典型的なミスの一つです。金額に応じて適切な科目(工具器具備品、一括償却資産など)を使いましょう。
自分で確認できるチェックリスト
- 機材の取得価額(税込または税抜)を正確に把握している
- 10万円・30万円のどちらの区分に該当するか確認した
- 青色申告者かどうかを確認した(少額減価償却資産の特例の適用要件)
- プライベート兼用の場合、業務使用割合を合理的に決めて記録している
- 30万円以上の機材は耐用年数と償却方法(定額法)を確認した
- 購入時の領収書・請求書を保存している
税理士に相談した方がいいケース
次のいずれかに当てはまる場合は、自己判断を避けて専門家への確認をおすすめします。
- 30万円以上の機材(カメラ・照明セット・高性能PCなど)を複数年にわたって購入している
- 機材の一部を事業用・一部を個人用として分けて使っており、按分の根拠が曖昧
- 白色申告から青色申告への切り替えを検討していて、特例の適用タイミングが不明
- 法人化を検討しており、個人と法人どちらで機材を取得するか迷っている
まとめ
YouTuberの機材費が経費になるかどうかは「業務に使用しているか」、そして処理方法は「購入金額が10万円・30万円のどちらの区分か」で決まります。
- 10万円未満:購入年に全額経費
- 10万円以上30万円未満(青色申告者):少額減価償却資産の特例で即時一括経費
- 30万円以上(または白色申告者で10万円以上):耐用年数で減価償却
高額機材の購入が増えてきた段階や、青色申告への切り替えを検討している場合は、早めに処理方法を整理しておくと申告時の手間が大幅に減ります。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
YouTube収入は、広告収入・投げ銭・企業案件・機材費など論点が分かれやすい分野です。収入規模や活動形態に応じた申告方法を整理したい場合は、税理士への相談がおすすめです。
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