ゲーム実況でYouTubeを始めたとき、真っ先に気になるのが機材費の扱いです。「買ったゲーム機やPCは全部経費にしていいの?」「趣味でも遊んでいるソフトは?」——確定申告の時期になって手が止まる方は少なくありません。
特に悩みやすいのは次のような点ではないでしょうか。
- ゲーム機やゲーミングPCは、買った年に全額経費にできる?
- プライベートでも使っているゲームソフトはどう扱う?
- 減価償却が必要な場合、帳簿にはどう書けばいい?
結論からいうと、取得価額が10万円未満かどうかで処理が変わります。10万円未満なら購入年に全額経費、10万円以上なら減価償却(複数年に分けて経費計上)が必要です。ゲームソフトは多くのケースで10万円未満に収まるため、購入年に全額経費計上できます。以下で具体的な判断方法と仕訳例を確認しましょう。
この記事でわかること
- ゲーム機材・ソフト代の経費判断フロー
- 取得価額10万円を境にした処理の違い
- 趣味兼用の場合の按分ルール
- 具体的な仕訳例と帳簿への書き方
まず押さえる原則:取得価額10万円が分岐点
国税庁タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」によると、使用可能期間が1年未満のもの、または取得価額が10万円未満のものは、取得に要した金額の全額をその年の必要経費とすることができます。
一方、10万円以上の資産は減価償却資産として扱い、使用可能期間(法定耐用年数)にわたって分割して経費にしていく必要があります。
なお、取得価額に消費税を含めるかどうかは、事業者の経理方式によります。税込経理なら消費税込みの金額、税抜経理なら消費税を除いた金額で判定します。免税事業者は税込経理が適用されます。
ゲーム実況の機材別・経費処理の判断表
| 機材の種類 | 取得価額の目安 | 経費処理の方法 |
|---|---|---|
| ゲームソフト | 数千円〜1万円台が多い | 購入年に全額経費(消耗品費) |
| 家庭用ゲーム機本体 | 3万〜7万円程度 | 購入年に全額経費(消耗品費) |
| ゲーミングPC | 10万円以上になりやすい | 減価償却が必要(器具備品) |
| キャプチャーボード | 1万〜5万円程度 | 購入年に全額経費(消耗品費) |
| ゲーミングモニター | 3万〜15万円程度 | 価格により判断が変わる |
家庭用ゲーム機は現行の主要機種でも7万円前後に収まるケースが多く、多くの場合は10万円未満として購入年に全額経費にできます。一方、ゲーミングPCは高性能なものになると10万円を超えやすいため、減価償却の処理が必要になることがほとんどです。
趣味兼用の場合:按分が必要
ゲーム実況者にとって最も判断が難しいのが、「業務にも使うし、プライベートでも遊んでいる」というケースです。
この場合、実況配信の業務に使った割合(業務使用割合)を合理的に算出し、その分だけを経費として計上します。業務使用割合の算出に定まった計算式はありませんが、「配信に使った時間 ÷ 総使用時間」で見積もる方法が実務上よく使われます。
たとえば、月に100時間ゲームをプレイし、うち60時間が配信用の収録・テストプレイであれば、業務使用割合は60%です。12万円のゲーミングPCであれば、経費として計上できるのは12万円×60%=7万2千円分となります。
重要なのは「合理的な根拠を説明できること」です。税務調査で問われたときに業務使用割合の根拠を示せるよう、配信スケジュールや録画ファイルの日時記録など、実態を裏付ける記録を残しておくと安心です。
具体例①:ゲームソフト(5,500円)を購入した場合
10万円未満のため、購入年に全額を消耗品費として計上します。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 5,500円 | 現金(または普通預金) | 5,500円 |
摘要欄には「○○(タイトル名)ソフト代・実況用」と記載しておくと、業務用途が明確になります。
具体例②:ゲーミングPC(15万円)を購入した場合(業務100%使用)
10万円以上のため減価償却が必要です。ゲーミングPCの法定耐用年数は一般に4年とされています(器具備品「電子計算機」)。個人事業主の場合、法定の償却方法は定額法です。
定額法による年間の減価償却費は「取得価額 × 定額法の償却率」で計算します。耐用年数4年の定額法償却率は0.250です。
- 年間償却費:150,000円 × 0.250 = 37,500円
購入した年の仕訳(資産計上時):
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 150,000円 | 現金(または普通預金) | 150,000円 |
決算時の減価償却の仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 37,500円 | 工具器具備品 | 37,500円 |
なお、青色申告者で一定の要件を満たす場合、「少額減価償却資産の特例」(中小事業者等の特例)を使うと、対象の減価償却資産を購入年に全額経費にすることができます。取得価額の基準は取得等をする日によって異なります。令和8年3月31日以前に取得等したものは取得価額30万円未満が対象、令和8年4月1日以後に取得等するものは取得価額40万円未満が対象です(適用期限は3年延長されました)。年間合計300万円を上限に適用できます。個人事業者にも同様の措置が講じられています。なお、この特例を利用するには青色申告者であることが要件です(国税庁「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」)。
具体例③:ゲーミングPC(15万円)を業務60%・私用40%で使う場合
業務使用割合60%で按分します。
- 経費として計上できる金額:150,000円 × 60% = 90,000円
- 年間減価償却費(業務分):90,000円 × 0.250 = 22,500円
資産計上は取得価額全額で行い、減価償却費を計上する際に業務按分した金額のみを経費とします。
よくある間違い
「ゲームソフトを資産計上してしまう」
数万円のゲームソフトを「無形固定資産」として資産計上するケースがありますが、10万円未満であれば購入年に全額費用処理するのが正しい扱いです。
「プライベート兼用なのに全額経費にしてしまう」
趣味としても使っている機材を全額経費計上するのは過大申告となる可能性があります。業務使用割合に応じた按分が必要です。按分せずに全額計上すると、税務調査で指摘を受けた際に修正申告と加算税のリスクがあります。
「購入時の領収書・レシートを捨ててしまう」
帳簿への記帳とあわせて、領収書や購入履歴の保存が必要です。国税庁タックスアンサー No.2080によれば、事業所得のある方は帳簿や書類を原則5〜7年間保存する義務があります。
よくある質問
ゲームソフトのDL版(ダウンロード購入)も経費にできますか?
はい、取得価額が10万円未満であれば経費にできます。DL版でも購入の記録(クレジットカード明細やプラットフォームの購入履歴)を保存しておけば、領収書の代わりとして使えます。
実況用に買ったゲーム機を後から私用でも使い始めた場合は?
当初100%業務用として計上していても、途中から私用でも使うようになった場合は、翌年以降の減価償却費から業務使用割合に応じて按分し直すのが適切です。
中古のゲーム機・PCを購入した場合の耐用年数はどうなりますか?
中古資産の耐用年数は、原則として「法定耐用年数 - 経過年数 + 経過年数 × 0.2」の計算式(簡便法)で求めます。ただし、計算結果が2年未満になる場合は2年として扱います。
まとめ
ゲーム実況用の機材費の経費処理は、取得価額10万円を基準に判断します。
- 10万円未満:購入年に全額経費(消耗品費)
- 10万円以上:減価償却(法定耐用年数にわたって分割計上)
- 青色申告者は少額減価償却資産の特例を活用できる場合あり(令和8年4月1日以後の取得等は40万円未満が対象)
- 趣味兼用の場合は業務使用割合で按分し、根拠となる記録を残す
ゲームソフトや家庭用ゲーム機は10万円未満に収まるケースが多く、購入年に全額経費にできることがほとんどです。ゲーミングPCは価格帯を確認したうえで、減価償却か即時経費かを判断してください。
本記事は情報提供を目的として作成しており、特定の税務判断を推奨するものではありません。実際の税務処理・申告については、税理士等の専門家にご相談ください。個別事情によって結論が異なる場合があります。
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